前回外観の模様をお届けしましたが、今回は実写レビューです。その前に、ざっと使用感についてお届けしたいと思います。2/3型の一般的なコンパクトデジタルより少し大きめなセンサーを搭載することで、ほどよい大きさのボディ。APS-Cサイズを搭載する物に比べれば格段にコンパクトですが、極端に小さくしているわけではありません。色々なことを実現するために「ほどよい」大きさです。さて、何を実現しているのでしょう。少し解説したいと思います。

まず、全域で明るい開放F値のズームレンズを搭載しています。いくら手ぶれ補正機構を搭載しても、やはりレンズは明るいに越したことがありません。ただ明るくしようと思えば、どうしてもレンズは大きくなります。X10が小ささを競い合うようなコンパクトデジタルのようなコンセプトのカメラであれば、このレンズスペックは厳しいかもしれません。ズームは28mm〜112mm相当となり、普段使いにはもってこい。

2/3型センサーということで、コンパクトデジタルカメラの世界独特の機能、そう超絶?マクロ機能も搭載されます。ワイド端で1cmまで寄れるのですが、これはもう大型センサーを搭載するカメラでは望めない機能です。1cmまで寄って何をするんだ??という話もありますが、単純に寄って撮れるのは面白いですよね。

X10の凄いところは、ズーム連動の光学ファインダーを搭載しているところです。このファインダー、X100のような様々な表示は一切無く、素通しの光景が見えるのみです。しかし倍率は望外に?高く、非常にクリアで見やすい。恐らくですが、液晶をオフにしてバッテリーライフを稼いだり、スナップシューターがシャッタータイミング優先で使ったりするシーンを想定して搭載されたのではないかと考えられます。「だいたい写り込む範囲がわかればよい。でもファインダーの"見え"は良くないとダメだ」と、写真を撮り込んでいる人達が言いそうなセリフに沿ったファインダーです。AF合焦はどう確認するの?と思いますよね。ファインダー外、接眼部右に緑色のランプがあり、合焦時光ります。ファインダーを覗いても、ランプが光るのはわかります。

高級フイルムコンパクトカメラというものが、かつてありました。ちょうど、それぐらいの大きさで、高級レンジファインダーを思わせるシンプルで質感の高いフィニッシュとルックスが憎い。APS-Cサイズのセンサーを搭載するカメラと同じ文法にあり、コンパクトデジタルが作り上げた世界や機能・使い勝手をミックスして、なおかつ、フルマニュアル撮影が可能。"操作して"撮るカメラです。画は並みのコンパクトデジタル以上の文句ない写り。ズバリ、普段使いに、でも操る愉しみと、しっかりした写り、さらに「小さい」カメラをお望みの方へ。実に憎い小粋なカメラですね。

(ヨドバシ.com編集部 写真・文:K )

渋滞中は退屈。コンパクトデジタルなんかを持っていると、つい車内をいろいろと撮影。X10はコンパクトデジタルよりも大きなボディですが、1cmまで寄れてしまうのです。シャッター速度は0.3秒と通常手持ちではどうにもならない速度ですが、レンズシフト式の手ぶれ補正機構がかなり効く印象です。

ISO400、テレ端にて。一昔前のこれぐらいのセンサーなら、ISO400なんて設定があっても選択したくなかったものですが、最近どんな機種でもほぼ安心して使えます。X10も例に漏れず。しかし良く写るレンズです。筆者は日頃単焦点レンズが搭載されたカメラをよく使うので、テレ端が112mm程度あると楽しくて仕方がありません。やはり画角の制限が無くなるというのは楽しいですね。手ぶれ補正がよく効いてるのもありますが、やはり明るいレンズは撮影フィールドが拡がります。

オートホワイトバランスはかなりニュートラルな白色に振ってくる傾向にあるので、デーライトに固定して撮影。多少フレアは出ますが、この程度出てくれないと雰囲気も無くなってしまいます。非常によい塩梅です。

さすがにフジフイルム。この色がなかなか出ないのです。まんま、カラーリバーサルのPROVIAそのものです。ちなみに、PROVIA/VELVIA/ASTIAの3つのモードから選べます。この色だけで、フジフイルムのデジタルカメラを欲しい人がたくさんいるのではないでしょうか。しかし、本家だけに変な?話ですが、フイルムシミュレートも堂に入ってきた印象を受けます。古くから搭載されてきた機能ですが、シャドーの階調がもう少し派手に落ちると、もう見分けが付かない印象です。

少し風景での作例を。原寸で見れば、それは確かに大型センサーのような緻密さはありません。しかし実際問題としては、画面鑑賞、現実的なサイズのプリントのときに「どう見えるか」。十二分の精細さです。そしてただ解像すればよい、というわけではなく、フイルムの画で慣らされてきた我々の目に、如何に自然に映るかということが大事だと思います。そういった意味で言えば、やはりフジフイルムの画は考えさせられるモノがあると感じます。ちなみに、原寸で見ると、まるでネガフイルムをフラットベッド式のフイルムスキャン機能付スキャナ(上級機)でスキャンした画像のような印象です。最近のコンパクトデジタルが搭載するセンサーは、135のフイルムに実効的な解像力の面で近づいてきた、若しくは超えてしまったのではないかといった印象を受けます。



上の大きなものが「PROVIA」、下の小さな2カットがそれぞれのモードとなります。

霧の中の中禅寺湖・湖畔。フラットなトーンほどデジタルカメラの得意とするところですが、逆にトーンが眠すぎてこんなシーンではあまり使いたくなかったりします。つまり、フラットでもフイルム的に適度にコントラストがつかないと、こんなシーンでは何が何だかわからなくなるのです。見たとおりの印象で、好感をもったカット。

多少絞り込んでいますが、かなりキレるレンズです。

フジフイルム独自のダイナミックレンジ拡張機能。こちらも古くから搭載されてきた機能ですが、 AUTO、100/200/400%と設定可能。右の作例は手動で400%に設定。かなり輝度差のある光景で、確かにハイライト部分に若干トーンが残っています。デジタルの画像に違和感を覚えるのは、トーン特性の違いも大きな要因ですから、このあたりの機能が搭載されるのも嬉しいですね。ちなみに、通常はISO AUTO(上限400)、ダイナミックレンジAUTOでよいと感じます。


立体感があります。センサーサイズからレンズ設計自由度も上がるのでしょうか。あくまでX100等に比べての話ですが・・・。

もしお近くにヨドバシカメラ店舗があれば、ぜひカメラ売場で実機を手に取ってみてください。ヤられますよー。それぐらいルックスはかなりのものです。もう眺めてるだけで嬉しくなってくる仕上がりです。実写可能なX10を手にするまでは、正直なところセンサーサイズが小さいため不安だったのですが、実によく写り、よくまとまった画作りです。これ1台で十分、とも思えますし、ポケットに1台、頼りになるサブ機としても抜群。大型センサーを搭載する高級コンパクトと、いわゆる一般的なコンパクトデジタルのちょうど中間に位置する本機ですが、そこに上級機そのものの質感・操作性・ルックス。しつこいようですが、これこそがX10の最大の特長です。つまり、毎日持ち歩いて嬉しいカメラなのです。そうそう、純正アクセサリーも、これまた欲しくなることうけあい。憎いですね、ほんとに。

※詳しい機能解説やアクセサリー類の紹介はこちらからどうぞ。