「コンパクトデジタルカメラでは出来る限り低感度で・・・」なんて画質を気にしての自制は必要無くなった印象で、前述の手ぶれ補正機構とあわせて、かなり夜の撮影が面白くなります。こちらも大きなトピックですが、従来型に比べると全般的に解像力を感じます。単にシャープさが増したというよりは、もっと根源的な印象で、ローパスフィルターに相当なテコ入れがあったのではないかと思われます。ともかく、後処理的なものではなく実にナチュラルなシャープさです。そして重要なポイントがもう一つ。液晶モニターの見えが抜群に良くなりました。日中の太陽の下で撮影を行っても、液晶画面が見づらいなんてことはありません。光学ファインダーを持たない以上、液晶画面が「ファインダー」なのです。読んで字の如く、"探せない・捉えられない" ファインダーはファインダーではありません。T型から最新のW型まで、姿形はさほど変わりませんが、着実で手堅いアップデート。撮り込んでいる方ほど、撮影時にカメラと身体が一体化することを望むと思いますが、そんな方々が最新のW型を手にすれば、「また佳くなったなあ」と従来型と大きな差を感じるでしょう。そして、もう一歩写真の世界にのめり込みたい方は、ここまで芯のあるカメラであれば、手にすることで色々と教えられること、気づかされることがあると感じます。ぜひ手にしてみてください。便利とは何だろう、自由とは何だろうということをあらためて感じさせられると思います。
(ヨドバシ.com編集部 写真:A.INDEN 文:K )
シャープさを感じるのも関係してくるとは思いますが、画のヌケもよくなった印象です。立体感もなかなかで、従来機とは一線を画した写りです。
さすがにF1.9、ここまで寄ると背景も大きくボケます。またボケ味の良さも印象的で、レンズへの力の入れ方がうかがい知れます。
ISO800/絞り開放で撮影。ISO800でこの画質、F1.9ということを考えれば、かなり撮影領域が拡がります。
ISO3200/絞り開放で撮影。デジタルカメラになれた方であれば、このセンサーサイズでISO3200なんてそもそも試さないかもしれませんね。しかし、案外に写るものだなあと感心しました。
ISO80/絞り開放で撮影。ちなみにシャッター速度は1/40。レンズの明るさ、そして手ぶれ補正機構が効いています。しかし実に繊細な描写です。
ISO800/絞り開放で撮影。シャッター速度は1/80。従来機では点光源に金平糖のような妙なゴーストが現れることが稀にありましたが、新型はそれも見受けられません。ISO800でノイズもそれなりにありますが、処理が実に巧み。根源的なシャープさが増せば、ノイズ処理にも余裕が生まれるのでしょうか。もちろん処理技術がものを言うのは間違いのない話で、単なる想像に過ぎませんが。
GR DIGITALにもいわゆるフィルター的な画像設定があります。こちらはクロスプロセス風。フイルムを選んでるようなものだと考えれば、これはこれで本当に楽しめます。
こちらは粒状を感じさせるハードなモノクローム。
前回の実機プレビューの際のタイトルと同じなのですが、まさに「間違いのない1台」です。正直なところ、姿形があまり変わらなければ「何が変わったの??」と思うのです。ただ、手にして実際に撮ってみれば明らかに従来機と違います。上手く表現できませんが、「より一歩撮り手に近づいた」というのが適当でしょうか。この意味がわかる方にこそ手にして欲しい1台です。そして、色々と今までデジタルカメラを楽しんできたけれど「そろそろちょっと本気で撮ってみたい」といった方に、おすすめしたいカメラです。本当に「また佳くなったなあ」と感じます。デジタルカメラ数あれど、GR DIGITALのような頑固なカメラも珍しい。ぜひ相棒に、そして、がっぷり四つに写真撮影を楽しんでください。