「いつもカメラを持ち歩きたい」と思ったら、やはりコンパクトカメラに勝るものはありません。リコーのCXシリーズは、小さなボディながら35mm版換算で28〜300mmという高倍率のズームを備え、広い景色から遠い景色まで何でもこなす便利な1台。そのシンプルでコンパクトなスタイルを一貫させながらシリーズも6世代を重ね、使い勝手も描写もしっかりと熟成させてきた感があります。難しいことは考えずにフルオートで使ってみれば、シャッターを切った場面が素直に撮れている。背伸びせずに使える、普段使いにぴったりのカメラだと思います。
最広角側、開放で撮影ですが、なかなかの解像力です。電子水準器で水平を出すことで素直なパース感になります。
窓辺から入ってくる光で撮影。観葉植物の繊細な表面が綺麗に表現されています。ボケも素直で、写真の中にいい空気感が漂いました。
真っ青な空をかけるパラグライダー。遠景の被写体ですが、立体感も色の鮮やかさも満足がいく描写です。
日没後手持ちで海に流れ込む川の流れにピントをあわせて撮影。自然は発色と豊かな階調でゆったりとした時間が表現されました。
GR DigitalやGXRなどコンパクトなカメラを作り続けてきたリコーだけに、操作性やボタンの配置はシンプルを極めています。親指一本で操作できるボタン配置、露出補正やホワイトバランスなど、良く使う項目が集約されたファンクションキー。迷うことなく撮影ができるように削ぎ落とされたインターフェースは、多くのカメラマンやハイアマチュアに受け入れられたGRの思想を受け継ぐものと感じます。カメラは写真を撮る道具。その瞬間にシャッターを切れることが、何より大切なことなのです。
動きまわる人物を逆光で撮影。難しい条件の光ですが、AFは素早く反応していました。
一休みしたカフェで可愛いハートのラテをマクロで撮影。コップのつやつやした感じがしっかりと表現されています。
百貨店のショーウインドウを撮影。ISO1600まで感度は上がっていますが、十分実用範囲です。
GRにも搭載されたクリエイティブ撮影モードは、CX6でも搭載。フイルムの世界で長年追求されてきた写真表現の豊かさを、手軽に簡単に垣間見ることができます。デジタル一眼でなければ、作品が作れないわけじゃない。コンパクトカメラでも仕上げることの面白さを感じ、しっかり「作品」を作って欲しい。そんなメーカーの想いを感じさせる意欲的な機能ではないでしょうか。
クリエイティブ撮影モードはモードごとに自分の好みに設定を変えることができます。例えば「ミニチュア」はピントの合う幅、位置を。「ブリーチバイパス」は色合いを。
自分なりの表現で撮影したいと思っている方には楽しく、嬉しい機能ではないでしょうか。
コンパクトカメラじゃ大した画は撮れない、なんて思っていたのも今は昔。こんなに小さなカメラでも、きちんと写真が撮れる時代になりました。ここまでの画質が得られるなら「いい写真」を撮るために必要なのは、何よりたくさんシャッターを切ることでしょう。スーツのポケットに入れてもかさばらない薄さですから、いつでも持ち歩いて、その瞬間を写真に収めてください。シンプルですっきりとしたフォルムは、男性にも女性にもぴったりフィットするはず。自転車で走りまわるアクティブな時間にも、大きなバッグは持てないフォーマルな場にも。CX6は、写真を撮るためのとびきりスマートで頼もしいパートナーになるはずです。