GX1のスタイルを見ていちばん胸が高鳴ったのは、きっとGF1のユーザーではないでしょうか。GF2〜GF3と、よりコンパクトにカジュアルにシェイプアップしてきたGFシリーズ。GF1の形を気に入って買い換えずに使い続けてきたユーザーにとっては、「いよいよ後継機が出てきたぞ」という感覚のはず。質感の高い金属のボディやダイヤル、握りやすいグリップ。決して懐古主義的なデザインではなく、あくまで使いやすさを求めながら現代的にアレンジしたクラシックな佇まいは、モノとしてもカメラを愛する人にきっと気に入ってもらえる存在です。
画質や機能ももちろん大事ですが「格好が気に入ったから手にする」というのも自然な理由。久しぶりにカメラらしいこのデザイン、待ち望んでいた方々にビシッと突き刺さるのではないでしょうか。

最大の特徴と言えるグリップ。握りやすく、使いやすいフォルムです。

背面ボタンはしっかりとしたクリック感があります。

基本的にはフラットなボディ。金属削り出しのダイヤルは質感も上々です。

マウントアダプターでライカレンズ、なんていうのも猛烈に似合うのです。

電動ズームレンズとの組み合わせで、約0.09秒とメーカーが謳う高速AF。そのスピードはさすがで、シャッターボタンを半押しした瞬間には合焦している感覚です。電源をオンにしてからの立ち上がりは約1秒。いつでもすぐに被写体を捉え、余計なことを考えずにシャッターが切れる。1600万画素の画も精細さを増し、マイクロフォーサーズのコンパクトなパッケージでこれだけの画が撮れるようになったのだと、驚かされるばかりです。

なかなかの解像力。こんな風景を撮るときには、電子水準器が活躍します。

14-42mmの電動ズームレンズは使い勝手のよい1本。スピードもさることながら電源オフ時にパンケーキサイズになるというコンパクトさも画期的で、まさにGX1に常用したい標準レンズです。フォトスタイル「ナチュラル」で撮影していますが、目に見た色に忠実な仕上がり。「スタンダード」ではもう少しコッテリと色が乗ります。

高感度の仕上がりも上々で、ISO1600やISO3200は積極的に使える印象です。決して明るくはないズームレンズでも、夜の撮影を恐れる必要はありません。

動画撮影でこそ電動ズームの良さが発揮されます。手動でないからこそ急激ではなく、スムースなズーミングが可能。MP4での保存も可能になり、少々扱いの難しかったAVCHDに比べて手軽なムービー撮影/利用が可能になっています。カメラの本分は写真の撮影ですが、ちょっとした動画をスナップ写真の感覚で撮ってみるのも、なかなか面白いのではないでしょうか。

いつも持ち歩けるサイズで、よく写り、動作も速いこと。そして大人が持っているに相応しい、上質なもの。そういう要求に応えられるカメラは、意外に多くありません。派手な受け売りはないけれど、きちんと性能を詰め込んだ硬派なカメラ。それがGX1ではないでしょうか。スーツをきちんと着こなしたビジネスマンが取り出しても様になるし、アクティブにフィールドに出る人がガンガンに使い倒していても格好がいい。中身の伴うものであればこそ、手にした人が充足するカメラであるはずです。

タッチパネルでの操作やフォーカスなど、GFシリーズで培われてきた機能はきちんと搭載。決して敷居の高い製品ではなく、初めてデジタル一眼に触れる人にもおすすめできるカメラなのです。日々触れる道具だからこそ、革製品や文具を選ぶようにお気に入りの一品を見つけたい。そんな方に触れてみて欲しい逸品です。