透過光ミラーを実装することで、一眼レフにもミラーレスにもない形を実現した「α55」。それから一年を経て、中級機という位置づけになる「α77」が発売されました。コンパクトで軽快な印象のあるα55に比べると、ボディはしっかりとした大きさになって質感も良好。機能面での進化は明白です。α55で高い評価を得た高速レスポンスは一層その速度を高め、搭載するセンサーは2430万画素の高解像度。様々なポジションを可能にする背面液晶はもちろん、有機ELを採用したファインダーは見やすさを増し、写真を撮る道具として一段階も二段階もグレードアップしてきました。
その姿は往年のカメラユーザが手にしても満足感を得られる「直球」。しかしその中身は現代の技術を惜しみなく盛りこみ、変化を恐れないソニーらしい意欲作です。中級機と銘打っている以上、この先にフラッグシップを見据えていることは確かでしょう。プロ・アマチュア問わず、写真を撮る道具として第一の形であり続けてきた一眼レフタイプのカメラを、積極的に再定義していこうとするαシリーズ。これからデジタル一眼に取り組む人にももちろんですが、長年カメラを使ってきた方にこそ、新鮮で面白いカメラかもしれません。
写真ではお伝えできないのですが、有機ELファインダーの見えの良さはこれまでのEVFとは次元の異なるものです。見ていて疲れも少なく、光学ファインダーにも迫る仕上がりになってきました。AFは極めて高速です。
実寸にすると6000×4000ピクセルという高解像度。キットレンズでも、髭の一本一本が描写できています。
Aマウントには単焦点レンズもたっぷりラインナップ。このセンサーで撮り比べしてみたくなります。
追尾フォーカスは使ってみれば誰もが驚くギミックでしょう。運動会など動く被写体を追いかける際に、威力を発揮します。
ISO1600で少しノイズが乗ってきますが、ISO3200くらいまでは積極的に使えるという印象です。
モノクロやエフェクトで撮影すれば、超高感度も実用的。夜の風景も絶好の舞台になります。
エフェクト機能もしっかり備えているのがソニーらしい遊び心。
バリアングルの液晶は可動部が増えて、一層自由なポジションが可能に。
ウェストレベルやローアングル、ハイアングルなど、無理なく撮影ができます。
一眼レフカメラという形は、長い年月をかけて作り手・使い手双方から磨かれてきた形です。細部に至るまでこの形になった必然性があり、技術的な進化があってはじめて変化が可能になります。α77は、まさにそんな変化を体現する新世代のデジタル一眼と言えるでしょう。例えば「見え方」はまだまだ敵わなくとも、光学ファインダーにはできない芸当をやってのける有機ELファインダーを採用すること。追尾するオートフォーカスを使って、ハイビジョン動画が撮れること。変化を新鮮に感じ面白がることのできる感度の高い方々に、自信を持っておすすめしたい1台です。デジタル一眼の未来とその幕開けを、感じられる製品だと思います。
SONY SLT-A77VQ[α77] ズームレンズキット