ニコンが新しいマウントのカメラを作るということが、どれだけ重大なことであるか、興味を持ってこの記事を読まれている方には説明するまでもないことでしょう。50年以上に渡って「Fマウント」を守り続け、世界の一眼レフカメラを牽引してきたニコンが、まったく新しいマウントのレンズ交換式カメラを作る。それがニコンというメーカーであればこそ、消費者は並々ならぬ決意を感じ、期待を寄せてしまうものです。
発表されたマウントは「Nikon 1」。「レンズ交換式アドバンストカメラ」と銘打ったこの新しいカメラは、コンパクトデジタルカメラより大きく、フォーサーズより小さいセンサーサイズのCXフォーマット。Fマウントでは難しかったコンパクトなシステムを可能にする、新しいフォーマットです。
技術的に大きいのは、撮像素子に世界ではじめて「位相差AF」を組み込んでいること。位相差AFとコントラストAFを使い分けるハイブリッドAFが様々な被写体に素早くフォーカスし、撮影タイムラグを限りなく小さなものにしています。また、20枚を撮影してベストショットを抽出する「スマートセレクター」など、優れたAF/連写性能が実現する各種の機能が「撮影」にフォーカスされているのがニコンらしいところ。派手なエフェクトなどは用意せず、大事な1枚を撮るための基本的な機能に絞っている、という印象です。
さて今回は試作機段階のボディですので、まずは外観や操作感などについてインプレッションをお届けしたいと思います。
試作機の段階ではありますが、手にした感触や操作性はよく作りこまれているという印象を受けました。難しい操作を必要とせず、写真を撮ることにストレスを与えない。よく考えられたインターフェイスとハイブリッドAFの実現する合焦のスピードが、心地よい操作感を実現しているのでしょう。
新しいマウントではありますが、実は過去のレンズ資産も活かすことができるボディです。マウントアダプタを使えばFマウントのレンズが装着でき、AF-SレンズならAFも動作。レンズの焦点距離の2.7倍相当の画が撮れるので、「もう少し寄りたい」時のサブカメラとして持ち歩くのも面白いかもしれません。
画質についてはオフィシャルサイトをご覧いただくとして、この生まれたばかりのCXというフォーマット/Nikon 1というマウントが、様々な可能性を秘めていることは間違いありません。ニコンがこれから私たちに見せてくれるものは何なのか。期待していきましょう。