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ソニーがNEXシリーズを出したとき、誰もがそのコンセプトとデザインに驚いたものです。APS-Cサイズのセンサーを搭載しながら、無駄を削ぎ落したスマートでコンパクトなフォルム。ボタンの数を極力減らしたシンプルな操作系。既成の概念に囚われずに設計されたこのカメラは、まさに「ソニーらしい」カメラと言えるでしょう。

そんなNEXシリーズがいよいよバージョンアップしました。今回レビューをお届けするのは「NEX-5N」。11月に控えた上位モデル「NEX-7」に先立って発売されました。さて、どんなところが新しくなっているのでしょうか。

触ってみて驚くのはまずそのテンポの良さ。レリーズタイムラグ約0.02秒という高速レスポンスに加えてAFもスピードアップし、気持ちよくシャッターを切っていくことができます。そのスピードが実現するのは「撮りたい瞬間にシャッターが切れる」という感覚。カメラにおける基礎的な筋力がしっかりレベルアップしているからこそ、このテンポが生まれるのでしょう。目の前の光景に心が動いたとき、シャッターを切ればよいのです。


風に揺れる葉の音に誘われて、見あげて撮った一枚。竹の葉が緻密に描写されています。


雨があがってようやく光が差してきた喜びと共に。水滴と赤いタンクをみずみずしく写すことができました。


曇り空の風景をモノクロでアンダー気味に撮影。遠景の描写と豊富なトーンは見事です。

撮影した写真は階調豊かで描写も緻密。クリアな色あいもNEXらしい仕上がりです。APC-Sサイズのセンサーを知り尽くし、存分に使いこなしているソニーだからこその画質だといえるでしょう。また、今回のモデルではISO25600まで対応。ISO25600という超高感度はさすがに非常用という感覚ですが、全体的に高感度の画質が良くなっています。


広角から標準域をカバーする標準ズーム1本あれば、街歩きや普段使いに困ることはありません。


ISO1000で屋内を撮影。常用して全く問題ないレベルです。


液晶モニタの角度を変えて、猫の目線に合わせて撮影。瞳の立体感や毛の一本一本など、ISO2000でもすばらしい描写です。

最近のデジタル一眼にはもれなく付いている動画撮影機能ですが、NEX-5Nの動画は桁違い。1920x1080ドットで60p(秒間60コマ)という、本気のフルハイビジョン動画を撮影できます。デジタル一眼の大きなセンサーによる豊かな表現で、ハイビジョン動画を残せる。ムービー好きな方にとっては、これだけで十分魅力的なスペックではないでしょうか。

※サンプル動画は60pではありません

「ピクチャーエフェクト機能」はムービーにも写真にも使えて、ひと味違った表現を手軽に楽しむことができます。面白いのはそれぞれのエフェクトをそのまま使うのではなく、明るさや色合い・彩度などを自分でコントロールできること。ダイヤルひとつで好みの具合に調整できるのは、NEX-5Nならではの楽しみ方です。


ジオラマのように撮影できるエフェクト。派手に効果がかかるので、わかりやすく楽しめます。


特定の色だけを残してモノクロになる「パートカラー」。青いペンキで書いた「BLUE」という文字と、右手にも少し青色が残っています。パートカラーで世の中を眺めると、これがなかなか面白いのです。


大胆に階調を変えてしまうポスタリゼーションは、写真をポップアートのように仕上げてくれます。


色あせた写真が郷愁を生むのはなぜでしょう。どんな風景を写真に残しておきたいのか、ふと考えさせられるエフェクトです。


SONY NEX-5ND W [ダブルレンズキット E18-55mm F3.5-5.6 OSS + E16mm F2.8 ホワイト]

コンパクトなボディに大きなレンズ。独特のスタイルのNEXは手に持ってみるとグリップもよく、非常によく考えられた、使いやすいカメラであることがわかります。撮るだけなら使いかたは簡単。綺麗な写真を気持ち良いテンポで撮影していくことができ、迷うことなく使えるパートナーとなるでしょう。

しかし使い込んでいくと、このカメラに詰められた沢山の機能に気がつくはず。シンプルなボタンで操作できるメニューから、パノラマ撮影やHDR撮影、顔検出に個人顔登録、笑顔で写真が撮れるスマイルシャッター、タッチパネルを使った追尾フォーカスなど、便利な機能に辿り着くことができます。変化を恐れずにあたらしいカメラの形を提案しつづけるNEX。スペックではわかりにくくとも、確実に使い勝手と画質が進化しています。その奥深さは、ぜひ触って確かめてください。

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