さて、SDシリーズをこれまで経験されていない皆様へ。
デジタルフォトに違和感を覚えたり、どうしてもフイルムの画に未だに惹かれて二の足を踏まれている方に、非常にオススメのカメラです。SDシリーズの大きな特長はFOVEONセンサーを搭載する点です。このセンサーの特性をわかりやすく記すと、3つの感光層が垂直に重なったような構造です。つまりフイルムと似たような構造なのです。もの凄く端折って言えば、一番フイルムライクな画が得られるデジタルカメラの一つと言えるでしょう。まずサンプルをご覧になってお確かめください。
※今回シグマ様のご厚意により、発売前にβ機をお借りして本ページを作成しています。従ってボディに関するフィール等は割愛させていただきます。
高画素化は、解像力に目を奪われがちなのですが、実は階調にも大きく影響を与えます。なかなかリアリティを感じませんか? 撮影者SD15ユーザでもありますが、この点について非常に感心しました。蛇足ですが、SD9/10/14/15と使ってきて、料理みたいな被写体の時は少々苦手意識がありました。色んな色がひしめき合い、現像時に意図したとおりに色を出せないナーバスさが過去のSDシリーズにはありました。低照度でアベイラブル、随分すんなり撮れて現像できたように感じます。
マイナス補正で撮影はしていますが、従来機よりもハイライト描写が素直になり、階調の繋がりがよくなりました。ヘッドライト部分のシャープさも素晴らしい。
ハイライト描写傾向がわかるカットをもう一つ。ロールスクリーンの間からかなり強烈に光が差し込んでいたのですが、実によい塩梅です。
解像力そしてシャープさばかりに目を奪われがちですが、解像の消失感というのも重要なファクターの一つで、リアルさに直結します。従来機からの特長で、解像の消失感はとても自然。高画素化によって、さらに自然に感じられます。葉の先のあたり、ブローニーのポジフィルム並みの描写と言えるでしょう。
高感度特性のテスト。ISO800。現像ソフトのノイズリダクション設定値はデフォルトに位置。従来機から格段に向上しました。
フイルムライクな画が欲しい方には最も適したカメラだと感じます。そしてどうもデジタルの画に違和感を拭えない方にもおすすめできます。※フイルムの描写が目に焼き付いている方だと思われます。世間では中判デジタル並みとの声も聞きますが、流石に中判デジタルバックでも現行中機種以上の怒濤の解像力、センサーのピクセル単位のサイズからもたらされる豊穣な情報量と比較すればインパクトに欠けますが、しかしこと「リアリティ」といった面では十分に比肩しうるというのが印象です。世間に出回るハイエンドデジタルカメラに飽きたらず、さらに高みを見たい方にはSD1はリーズナブルにシステムを構成できる佳い選択ではないでしょうか。さて、プロカメラマンの方もSD1が気になって仕方ないという方も多いと思われます。長辺で4700px程度の画像がアウトプットできるほどに高画素化し、トリミング自由度もあがりました。そして高感度特性の向上と、じゃじゃ馬的特性が薄れて非常に扱いやすくなったと言えます。レンズラインアップも非常にリーズナブルで豊富。マウントを増やしてでも手に入れる価値大です。ご興味をお持ちの皆様、ぜひFOVEONセンサーの世界へ。
※繰り返しになりますがβ版ゆえに正しい評価はできませんが、ボディのキレもなかなかで、静かでキレのあるシャッター、見えのよいファインダースクリーン等々、ボディ自体も従来機に比べて好印象でした。実機はテスターが触ったときよりも更によくなっているのではないかと思われます。