小気味よい。それがα55を手にした、最初の印象。
スパッとAFが合い、サクッとシャッターが切れる。そのボディは軽くて握りやすいから、片手でも無理なく扱えて、心のうごくままに被写体を捉えることができる。指先ひとつでフォーカスを合わせ、思ったときに写真が撮れる。
じぶんのペースで写真が撮れる、実にテンポのよいカメラだ。

電源をオンにしてから液晶が写るまでの時間は、1秒かからない印象。およそ0.5〜0.7秒でしょうか。被写体にレンズを向けた頃には液晶がついていて、AFを動かせる状態になっている。速やかに扱えば2秒でシャッターが切れる、という感覚です。

とりあえず街中を撮り歩いてみた。操作感は軽快そのもので、しっかりしたグリップから指先で切り替えられる電源スイッチ、親指で操作できる背面のボタンなど、右手だけで多くの操作が完結する。背面液晶もとても見やすいから、「両手でしっかりと構えてファインダーを覗く」という一眼レフの撮影スタイルよりも、コンパクトデジタルカメラのように「両腕をのばして液晶を見ながら撮る」というスタイルになる。まぶしくて液晶が見づらい場面では、EVF（電子ファインダー）が非常に役に立つ。

透過ミラーという構造上、高感度は難しいのではないかと思っていましたが、なかなかの仕上がりです。
ISO1600〜3200あたりは積極的に使って、α55ならではのスピード感のある写真を夜でも狙っていきたいところです。

ダイヤルを連写モードにしてみよう。信号待ちの交差点で、街ゆく車を追いかけながら連写を試してみる。しっかり被写体を画面におさめて、あとはシャッターボタンを押すだけだ。

「スパパパパパパパパ！」

すさまじい連写。あまりの速度に興奮して、カメラが連写をやめるまでシャッターを押しつづける。目の前の景色が、コマ送りの写真になってゆく。

すごい。
とにかく、速い。

標準ズームキットの「DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM」で撮影。JPEG保存で30枚、RAW + JPEG保存の場合は12〜16枚くらいまで連続で撮影できました。
※もちろんシチュエーションやメモリーカード等によって連続撮影可能枚数は異なります。
ISO1600 f3.5で、シャッタースピードは 1/100〜1/160。連写中も測光できていますし、カット毎にホワイトバランスが違うことがわかると思います（オートホワイトバランスで撮影）。ムービーではなく、あくまで1枚1枚の写真なのです。

「一眼レフ」の「レフ」とは反射のこと。ふつう一眼レフカメラはボディのなかにミラーを持ち、ファインダーにレンズのむこうの景色を届けている。写真を撮る瞬間にはミラーが上がって、レンズを通った光がセンサーに届く。

α55はこのミラーを透きとおるミラーにしてしまった。こうすると、写真を撮る瞬間にミラーを動かす必要がない。ミラーが動かない分ボディの振動も少ないし、速度も上がる。そしてAFのセンサーが、いつでも動く。こうしてα55は、今までにない速度を実現したわけだ。
特に連写をしているとき、ムービーを撮っているとき。撮っている最中もAFが動くカメラは、ほかにはない。

ムービー撮影ができるデジタルカメラは多くありますが、α55のそれはもはや「カメラのオマケ機能」ではなくなりました。
撮影中もAFが被写体を追いかけることで、撮れる映像が大きく変わります。大きな素子とレンズ交換できることによるデジタル一眼ならではの表現力を、色々な場面で使うことができるのです。ムービー撮影を目的のひとつとしてこのカメラを選ぶのも、おかしなことではありません。

カメラの本質は、目の前の光景を写すこと。いつの時代もそれは変わらないけれど、デジタルだからこそできるようになったことがある。そういったものを積極的に採用し、ユーザのかゆいところを押さえていくのは、ソニーらしいカメラと言えるかもしれない。おもしろい機能が、いろいろあります。

※おさまりきらない程の景色に出会ったら、スイングパノラマがおもしろい。連続で切れるシャッターに合わせてカメラを動かせば、パノラマ写真のできあがり。

※ふつう手ブレしてしまうような夜の景色も、手持ち夜景モードなら連続でシャッターを切って、カメラがいいとこどりをしてくれる。三脚なしでも、夜景が撮れる。

※背面の液晶は自由に角度が変えられるから、腕を高くあげて人混みのむこうを狙ったり、地面スレスレから見上げて撮ったり、自由な撮影ができる。

※朝の光でコントラストの強い光景を、オートHDRで撮影。白飛びしてしまいそうな空と、陰に沈む川沿いのディテールが、しっかり残る。

どんなにカメラが進化しても、シャッターを切るのは人間の仕事。一発必中でその瞬間を撮ることは、そんなに簡単なことじゃない。

でも、ご安心を。
α55の連写性能は、1回きりのチャンスを10回くらいには増やしてくれる。あとはいつでもカメラを持ち歩いて、心のままにシャッターを切ればいい。

カメラを手にして、世界に目を向けてみよう。いつも見ている光景が、いかにシャッターチャンスにあふれているか。


α55はきっと、
いいパートナーになってくれる。

これからデジタル一眼をはじめようという方、以前からお持ちの機種をそろそろ買い替えようという方。申し分のない機能が備わっています。はじめての人なら、まずはオートでカメラまかせ。写真を撮ることに慣れてきたら、それに見合った使い方ができるでしょう。基本性能がしっかりしているので、長く楽しめるカメラになるはずです。

カメラに慣れた方がサブ機として選ぶにも、よい選択です。軽量コンパクトだから、普段づかいにぴったり。動きの多いスポーツや街角のスナップに、お子さんのムービー撮影用に、などなど、メインでお使いのカメラがちょっと苦手なところを、任せてみてはいかがでしょう?