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「センサーが違う」 その違いをここに書くことすら相応しくない。そんなことを知りたくて皆さんはこのページをご覧になっていないでしょう。もしお知りになりたいのならインターネット上の情報、書籍で調べてみてください。・・・ただ一言だけ。殆どのデジタルカメラのセンサーはビデオカメラからの技術流用です。SD15に搭載されるFOVEONセンサーは、スチル(写真)を撮るために一番相応しいセンサーかもしれません。撮った画にリアリティを求めるなら「SD15」。このカメラの世界を知ることで、混沌とするデジタルフォトグラフの世界の中で、少し近道になるかもしれません。

SIGMA Photo Pro 4で、各パラメータを操作して現像。カラーリバーサルであればもう少し硬く、一般的なデジタルカメラであればもっと軟調。コントラスト調整でトーンを締め上げ、ハイライトとシャドーを独立で操作できるこの現像ソフトは、実に見た目に忠実な画を実現してくれます。また、SD15のRAWデータの粘り強さというべきか柔軟性というべきか、各パラメータを操作すると自然に破綻なく画が変わっていきます。

まるでポジフィルムをライトボックスにかざした時のような感動。他のデジタルカメラではなかなか味わえない この色のリアリティと艶。過去のモデルでは、そんな惹き付けられてやまないパワーを内包しつつ、現像ソフト上で色のコントロールに悩み果てるような”危うさ”も同居していましたが、最新のSD15では非常に安定しました。このカメラが持つ独特のデバイス「FOVEONセンサー」と「ロジック」が、本質的に評価されるときが来たとワクワクします。ローパスレスのセンサーによる解像力ばかりに目を奪われがちですが、SDシリーズには、他のカメラとは少し違う色とトーンがあります。如何様にもコントロールできそうと思えてしまうデジタルの世界で「明らかに違います」。「何か違う」と探し求められている皆さんに、ぜひ手にして欲しいのです。

現像ソフトでかなりシャドーを切り詰め、ハイライトのパラメータを操作して「ヌケ」をコントロール。実はデジタルカメラで最も難しい部類の作業です。一般的にデジタルカメラの描写はハイライトのトーン特性が薄く、シャドーのトーンに厚く、全体的に見て軟調な傾向にあります。このカットのような光景では、実は一見リアルに写ります。それは軟調な再現特性がマッチするからなのですが、実際の光景よりもシャドーが浮いて再現され、少し締まりの足らない画になるのではないかと思われます。そこでシャドーを切り詰めようとするわけですが、ハイライトもつられて濃度が増すため、トーンカーブなどでハイライトをそのままに据え置こうとすると、今度はトーンの繋がりが破綻したり、妙な色転びに悩まされたり。結局、ほぼ何もせずにストレート現像に近い形でアウトプットせざるを得ないというストレスがあったりするものです。(上級者ならレタッチソフトにて部分的にシャドーを沈ませることになります) SD15では、同じ工程を経て見事に現場の空気感を再現。雲は厚く、しかもガスっぽい。そんなミスティな空間に1人佇む農婦。レリーズしたときの光景そのままなのです。

センサーの原理上ローパスフィルターを必要としないのがFOVEONセンサーの特長。この解像力だけが欲しくてSDシリーズを手にするユーザーも居るとか。納得の描写です。ぜひカットをクリックして原寸大画像をご覧になってお確かめください。

大切なのは解像感ではなく「解像力」。そして闇雲に解像してモアレや偽解像・偽色を頻発するようでは不自然さが生まれます。SD15ではローパスレスによって根源的なシャープさを持つと同時に、RGBを一つのピクセルで取りこむがゆえに、一般的なベイヤー配列のセンサーのようなトレードオフと無縁。結果として非常に「自然に」「シャープに」解像します。この「自然さ」というのが実はフィール上最も大事なことではないかと思うのです。徹底的に解像しつつ、解像しきれない遠景細部が如何に自然に消失していくか。フイルムの描写と比べてデジタルの描写に違和感を覚える一つの要因なのです。たとえば上のカットをダウンロードしていただき、レタッチソフトなどでアンシャープマスクを強めにかけてみてください。同時に他のデジタルカメラで撮影した物も同様にアンシャープマスクを。何かが違うはずです。ぜひお試しください。

SD15を短くまとめれば、カメラとして高次元にバランスされた結果、元々持っていた高いポテンシャルが、いかんなく発揮された、といった感じでしょうか。SD9/10でローパスレスによる痺れるようなシャープさに目を奪われ、独特の色、そして立体感に妙に惹かれるのですが、至宝のセンサーとロジックから生み出される画の片鱗を伺いつつも、使いこなすには独特の作法を強いるといったものでした。まるでトラクターにスポーツカーのエンジンユニットといった様相。SD14ではボディのクオリティもぐっと上がり、随分まとまってきました。そして今回のSD15では完熟といえる領域に入ってきました。センサーサイズからすれば見えのよい質の高いファインダー。キレを伴った静かなシャッター。そして何よりも他のデジタルカメラでは味わえないフイルムライクな画。強烈な魅力を放っています。

 

長辺2640px程度の画素数ですが、全紙サイズにプリントしてみて、特に画素数の少なさによる甘さは感じませんでした。A2程度ならほぼ確実にどんな方でも満足できるのではないでしょうか。ベイヤー配列のセンサーで同程度の画素数なら難しいかもしれません。しかしFOVEONセンサーを搭載するSD15なら問題ないでしょう。RGBを1ピクセル上で捉えるこのセンサーは画像の拡縮を自然に行えます。だから少々の大伸ばしも自然な雰囲気を保って行えるのです。そしてSD15は画素数だけでは語れない、画の密度・質感があります。実際にサンプルをダウンロードして大伸ばししてみてください。

 

SD15の使いこなしのコツは、デジタルワークフローをきちんと身につけること。とはいえ、そんなに難しいことではありません。たとえば青の反対の色は何か。色の基本中の基本を知っていれば(または知れば)、実に使いやすくコントロールしやすい現像ソフトがパッケージされます。逆に知らなければ扱いづらいでしょう。そして、RAWで撮影し、現像ソフトで出力形態に合わせて現像する。この作法で恐らくフイルム派も唸る画が得られます。デジタルに本気な人ほど、膝を叩くような結果と快感が得られ、最も応えてくれるカメラでしょう。デジタルの海で彷徨い続けた方にこそおすすめしたい、そんなカメラがSD15です。

マウントを乗り換えてでも手にする確かな価値がここにあります。

 

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