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SONY α NEX-5 実写レビュー

例えばAF性能。高画質大判センサーを搭載していても実用的。

APS-Cサイズの大判センサーを搭載すれば、デジタル一眼レフ同等の画像が得られます。こんなに小さなボディでレンズ交換も可能。すぐにでも飛びつきたい、でもAFは大丈夫なのだろうか?・・・筆者の個人的感覚としてはかなり驚きました。まるでコンパクトデジタル並みの速度でバンバン合焦します。AFモードの一つに合焦後すぐさまMFに移行でき、ピント部分を拡大表示するモード(MFアシスト)がありますが、一定時間経つと拡大表示も元通りに戻ります。このタイミングの設定も絶妙で、「開発者の皆さんは相当に写真を撮り込んでいるのではないか?」と感心する次第で、作り手の気持ちが伝わって嬉しい限りです。

 

コンパクトさが操作性をスポイルしない、使い手の視点に立った設計

写真はカメラを持ち歩かなければ撮れないのですから、ボディがコンパクトで持ち出しやすいことはよいことでしょう。 しかし、コンパクトさに終始して操作性がスポイルされるのは本末転倒。カメラである以上、写真を撮ることが本分なのです。NEXシリーズを実際にロケ撮影で使用しましたが、現場ではとにかくスピード・ハンドリングのよさが求められます。しかし撮影の際に特に気になることはありませんでした。これだけ小さなボディで不満が出てこないのは相当に煮詰められているといってよいでしょう。

たとえば電源スイッチ。棒状の突起があります。女性で手の小さい方は難しいかもしれませんが、男性であれば片手でグリップを握りつつ、なんとかスイッチのオンオフができます。大きなセンサーを搭載していますので、バッテリーライフを気にしてしまい、こまめにオンオフしたくなるのが心情です(実際にはオートパワーオフなどの制御でスイッチを入れっぱなしでも問題ないと思われますが・・・)

こんな感じです。違った場所、違った形状のスイッチであれば難しいでしょう。

 

撮影の際に、背面のボタンをむやみやたらに押してしまうことも少ないように感じます。このあたり非常に大事なことで、コンパクトさのみを求めては優れたインターフェイスとはなりません。よく練られた印象です。ただ、ボディ背面にあまりボタンを配置できなかったせいもあると思われますが、ISO感度などをダイレクトに設定できないのは残念です。

ISO感度設定は「明るさ・色あい」のメニュー項目にまとめられています。初めて使うときには戸惑うかと思われますが、慣れてしまえば問題ありません。しかし、感度設定をメニュー第一階層に置かないということは、高感度特性が一昔前に比べれば飛躍的に上がり、「ISO AUTO」設定で画質に不満を感じることは殆ど

ないということなんでしょう。デジタルカメラは「押せば確実にきれいに写る」を実現しつつあります。

レンズもカメラホールディングの一役を担います。APS-Cサイズのセンサーに対するズームレンズですからこの程度の大きさにはなるでしょう。

 

光学ファインダーを持たない設計だからこその撮影スタイル

液晶モニターでのライブビューにて撮影を行うことになりますが、100%の視野率、ホワイトバランスや露出、そしてボケ量など、仕上がりそのものを見て撮影を行えるのが最大のメリットです。NEX-5では、可動式の液晶モニターを装備している関係で一眼レフなどでは難しいアングルでの撮影を可能にします。

一眼レフでのローアングル、ハイアングルでの撮影はとにかく大変です。NEX-5なら横位置での撮影でアングルの制約から解放されます。

フルハイビジョンでの撮影もきっちりこなす

やはりSONY。ムービーカメラとしての機能も満載。フルハイビジョンであることはもちろん、被写体に対し自動的にピントを合わせる動画用AFをはじめ、シーンに応じた露出調整も自動で行ってくれます。

よく作り込まれた「カメラ」機能てんこ盛り

ミラーレス・レンズ交換式デジタルカメラとしては後発となりますが、一眼レフのようなレガシーとは無縁の新しいシステムだからこそできることをてんこ盛りで載せたカメラであり、写真撮影を行うカメラとしての本分も忘れない、実によく作り込まれたカメラではないでしょうか。そしてこのコンパクトさは何物にも代え難い。非常に満足度の高いカメラと筆者は感じました。

SONY NEX-5 , E18-55m F3.5-5.6 OSS , 1/60 , F11 , ISO200 (クリックで原寸拡大)
手持ちで135換算、30mm前後にてRAWで撮影。純正ソフトでストレート現像。

SONY NEX-5 , E18-55m F3.5-5.6 OSS , 1/80 , F3.5 , ISO200 (クリックで原寸拡大)
手持ちで135換算28mm付近にてRAWで撮影。純正ソフトウェアでストレート現像。能登半島をまわるロードサイドで世間話。吊す玉ねぎと一緒に撮らせていただいた。なかなかリアリティのある描写。手ぶれ補正はかなり効く印象。

SONY NEX-5 , E18-55m F3.5-5.6 OSS , 1/400 , F5.6 , ISO200 (クリックで原寸拡大)
手持ちで135換算80mm付近にてRAWで撮影。純正ソフトウェアでストレート現像。能登半島・輪島市名物の朝市にて。しかしストレート現像で何ら不満のない描写です。シャドーはきちんと落ち込み、コントラストも高く、非常に印象のよい画作りをします。NEX-5の可動式液晶モニターはこんな極めてローアングルの撮影も可能に。これを一眼レフで行うとなると、路上にカメラを置いてノーファインダーでの撮影となるでしょう。

SONY NEX-5 , E16m F2.8 OSS , VCL-ECF1 [フィッシュアイコンバーター] , 1/800 , F9 , ISO200 (クリックで原寸拡大)
135換算24mm単焦点となるこのレンズに、フィッシュアイコンバーターを装着。筆者にはあまり縁のない構成なのですが、正直何を撮ってよいやらわからなかったので、浜辺に打ち上げられたポリタンク相手に少し遊んだつもりなのですが・・・。腕に覚えのある皆様、ぜひこのドラスティックな描写に挑んでみてください。かなり立派なコンバーターで、描写も四隅で色収差が若干見られますが、その実力たるやなかなかのもので見かけに相応しいものです。 ポリタンクのリアルな再現に驚きました。

SONY NEX-5 , E16m F2.8 OSS , 1/500 , F11 , ISO200 (クリックで原寸拡大)
「スイングパノラマ」機能を試してみました。RAWモードで撮影していたのですが、メモリーカードに記録されていたのはJPGファイルでした。できる限りカメラの水平がずれないように撮影したつもりですが、カットとカットのつなぎ目に若干段ができています。通常ステッチング(繋ぎ合わせ)によるパノラマ撮影は、歪曲収差の殆ど無いレンズを装着し、カメラを「パノラマ雲台」なるものに載せて、厳密にレンズを振りながら撮影します。非常に面倒な撮影です。NEXではカメラの指示通りに自分の身体を回転させ、シャッターボタンを押しっぱなしにするだけ。正統派の撮影からすれば乱暴極まりないのですが、景色に感動して光景を記録するという意味合いからすると問題はないでしょう。面白い機能だと思います。

NEXシリーズをおすすめしたい皆様

デジタル一眼レフのセカンド機に

たとえば日常生活の中で写真を楽しむのに、デジタル一眼レフと交換レンズ群をセットにして持ち出すのはなかなか難しい。しかし撮るからには少しでも高画質であってほしい・・・そんなシチュエーションにはズバリなカメラだと思われます。鞄の中に、ウエストバックの中にいつも忍ばせておくだけで、何もしないよりは佳い写真を生み出すチャンスが生まれます。何より写真好きの皆様は、カメラを持ち歩けないストレスをお持ちなのではないでしょうか。

メイン機が欲しい

これから本格的なデジタルカメラをお買い求めの皆様、あまり特定のメーカーでレンズ資産をお持ちでない皆様にも、「メイン機」としておすすめできます。NEXシリーズはデジタル一眼レフの一般的なセンサーであるAPS-Cサイズのセンサーを搭載しているため、画質は一般的なデジタル一眼レフと同等です。上の解説の通り、カメラとしてかなり美味く作り込まれている印象。メイン機として存分に活躍してくれることでしょう。

レンズグルメの皆様に

色んなメーカーを跨ってレンズを愛する皆様、NEXシリーズは「レンズ無しレリーズ」についてのメニューを有しています。他社製メーカーのレンズ装着はあくまで自己責任となりますが、サードパーティ製の色々なマウントアダプターも追って開発される予定のようです。書くまでもないと思いますが、このフランジバックの短さと、センサーサイズは色々と楽しめそうです。純正での組み合わせ+αをぜひお楽しみ下さい。

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