.

グレーバランスに優れる顔料プリンターと良質な用紙を手に入れる。「第2の撮影」と言われる「プリント」が俄然楽しくなる。

画を触りましょう(レタッチしましょう)
フイルム(ケミカルプロセス)と違って、画像処理を行えることがデジタルの最大の魅力。ゆえにデジタルの画は基本的に「無難にまとめられています」。つまりストレートにプリントすると何だかポヤっとしてるような、メリハリがないような。そこで画を触って最適化します(レタッチ)。プリントが見ちがえります。

まずは「ヌケ・コク・キレ」だけで OK
プロフェッショナルの世界ではレタッチを専門にする人(通称 ?:画処理)がいるほど突き詰めれば深〜いのですが、ここでは"なんちゃって"な方法をご紹介。たとえば「ヌケ・コク・キレ」。この意味を理解するだけでプリントが別物に。そしてレタッチの基本中の基本が身につきます。

それっぽいレタッチもご紹介
面倒なレタッチ作業無しで、クリック一発の便利なソフトを作例を交えてご紹介。自分になり変わってレタッチ処理を行ってくれるので、そのまま使ってプリントするもよし、レタッチの世界を拡げる一つの指針にするもよし。プロセスは正直関係ありません。格好よければヨシ!なのです。

難しいことは抜きにして、まずは一例。何だかメリハリが無い、何とかしたい

記憶ではもっと空は青い!(使用機材 : Nikon D2x[絶版])
悪くはないのですが、少し全体的にメリハリがありません。もっと空は青く、雲はプカプカ浮く感じで・・・まずは直感的に画像全体を明るくしようと考えます。しかし、それだと空の色が薄くなってしまいます。そこで難しい説明は抜きにして、まずはレタッチした画像を下に・・・

コツがわかると、ものの10秒。超適当レタッチ。
正直空をよく見るとトーンジャンプ(階調が段々になってしまっている)、画面中央付近の木々を見ると少し暗く潰れ気味。複雑な工程を経ずに適当にレタッチした結果です。しかしプリントした際の仕上がりは、撮って出しの画像をストレートにプリントするよりは全然よいはずです。ここでレタッチの工程は解説いたしませんが(詳しい解説ページはこちら)、以下のポイントだけ覚えておいてください。

まずやってしまいがちなのは、画像全体にメリハリが無いので、全体を明るくしたり暗くしたり。でも空は色濃くあってほしいわけですから、全体を明るくするということは空の色は薄くなってしまいます。逆に全体を暗くすると、空に色は載りますが、そのまま全体が暗くなってしまいます。レタッチで一番大事なこと。それは「欲張ること」なのです。

  1. 空は色濃くあって欲しいのですから、まず空に注目して、空を暗くする(=色が載る)のです。
  2. 思惑通りの空にしてから、全体の明暗を調整するのではなく、コントラストをつけることでメリハリをつけるのです。

・・・といった具合に、外せないポイントをまず実行、その後全体を調整するということを覚えておいてください。

もう一例。何だか色に深みがない!

バイクの色が違う!(使用機材 : RICOH R8[絶版])
皆さんもよくお使いだと思いますが最近のコンパクトデジタルカメラはよく写ります。このRICOH R8もかなりデキのよいカメラだと思います。・・・が、もう少し欲張りたい。どことなくビデオカメラで撮った映像みたいで、メリハリがない。これはどんなコンパクトデジタルカメラで撮ってもカメラの標準設定でストレートに撮れば大なり小なり同じような傾向です。何気に撮った写真ですが、このバイクの現実の色はもっと妖艶な赤色なのです。昔に比べればデジタルカメラの赤色の表現もよくなりましたが、いまひとつ。まずこれを現実に近づけたいと思います。それと、少し後ろの背景とバイクが貼り付いた感じなので、もう少しバイクの存在感を出したいと思います。

赤を艶やかに。バイクはもっとエッジが立った機械なのだからシャープに(ただしバイクだけ)。
わかりやすく少々派手目にレタッチしましたが、実車の色はこんな感じで、深みがあって艶やかな色なのです。レタッチ前の画像をぱっと見て、直感的に赤色の部分だけ何らか触ってこの色を表現しようと思っても難しいと言えます。明るくしたり暗くするだけなら簡単なのですが、深みがあって艶やかな色にするということは、少々思考を切り替えなければなりません。簡単です。「深み」と「艶やか」と分離して考えましょう

赤色というのは非常に扱いにくい色で、画像全体で明るさを持ち上げても下げても、色そのものが変わってしまうことが多いのです。しかもデジタルカメラはこの赤色の再現が難しいことが多いようです。またコンパクトデジタルカメラは撮ってそのままの状態でないと下手に画像を触ると破綻しかねません。詳しい解説は省きますが、わかりやすく言うと、あの小さなボディで余裕たっぷりの画像を吐き出すのは色々と難しい、とだけ覚えておいてください。つまり撮ってそのままが一番よいのです。そんな状態から手を入れるわけですから、撮った画像をアレコレと触るのではなく「色を足す」的に触ってみます。プロセスは以下のとおりです。詳しい解説はいたしませんが、原理だけにご注目(こちらで詳しく解説しています)

  1. 赤を直接的に暗くするのではなく、画像全体をモノクロ化します。
  2. 元の画像にモノクロ化した画像を重ね合わせます。
    重ね合わせるというよりも、モノクロ化した画像と元のカラー画像をよい塩梅に混ぜ合わせます。=黒を手っ取り早く載せる
  3. カラー画像にモノクロ画像を混ぜ合わせると色の鮮やかさが無くなりますので、全体的に鮮やかさを上げて、元のカラー画像並みに戻します。
  4. 画像全体的なコントラスト調整を行います。飛ばすべきは飛ばし、潰すべきは潰します。
    たとえばタイヤは黒くてよく、ボディの光沢部分は白く飛んでも構いません。=メリハリ
  5. 最後に、バイクの存在感だけが欲しいわけで、バイクだけ存在感をだします。機械というものはエッジが立っています。ならば、バイク全体だけにシャープにすればよいのです。すると機械らしいシャープさが出て存在感が増し、バイクだけシャープにするわけですから前景や背景とのメリハリが生まれます。

・・・といった具合に、今回も同じく「どうすれば良くなるのか?」ということをピンポイントごとに考えて、ピンポイントごとに処理するのです。そして最後に全体の調子を合わせればよいのです。

まとめ(1) 画像に「ヌケ・コク・キレ」を。
これを心がけるだけで、存在感のある写真に仕上げることができます。

  1. ヌケ=もやもや感の除去。基本的にコントラストをつけることで獲得できます。画像には飛んでよいところ、潰れてよいところがあります。そこは思い切って飛ばすべきは飛ばし、潰すべきは潰しましょう。
  2. コク=色の深み、階調の深み(密度)。基本的に暖色系(黄色や赤色)のほうが色に深みを感じやすいといえます。つまり、暖色系に画像全体の色味を整えるとコクというものは表現しやすいのです。これに加えて、階調の深み(密度)を考えます。空なのか、影なのか、または中間領域なのか、自分が一番際だたせたい階調を起点にして、その他の階調を犠牲にしてでも際だたせることで、前述の色味を加えてコクというものは表現されます。
  3. キレ=やりがちなのは画像全体にシャープをかけること。典型的な風景撮影ならそれでよいのですが、大抵は画像の中で際だつ被写体、注視して欲しい被写体があるはずです。そこだけにシャープをかけるという発想を頭の中に置いておくと、レタッチの引き出しが増えます。

まとめ(2) レタッチはやりたいことをバラして考える
画像全体をぼんやり見つめて、何がどうなれば良くなるのかを考えます。そして一番大事なことから作業を初めて、一つずつ解決して、最後に帳尻あわせをします。これを結構全体で捉えがちなのですが、実は積み重ね作業なのです。・・・ということはレタッチとはある意味簡単なことで、右脳的な作業だと思いきや、実は左脳的な作業なのです。つまり、ある程度公式みたいなものが存在します。ひとつひとつ何をどうすればどうなるか、ということを覚えていくうちに知らぬ間に上達するのがレタッチです。案外、最初のうちはこのあたり勘違いしがち。

 

まとめ(3) 色の原則ぐらいは知っておく必要があります
最低限これだけは覚えておく必要があります。逆にこれだけ知っていればあとは応用でOK。

  1. 画像はRGB(レッド/グリーン/ブルー)それぞれの色の重なりで表現されている
  2. RGBのそれぞれの反対の色が何かを知っておく
    R(レッド)の反対はG(グリーン)/ B(ブルー)の反対はイエロー、とだけ覚えておいてください。RGBはわかるけど、Y(イエロー)がなぜ表記に含まれないかなんて考えなくてOK。たとえば、画像が赤っぽい。その時にはグリーンを足せばよい。若しくは赤を減らせばよい、とそんな風に覚えてください。
▲このページ上部へ
.....
Copyright(C)2010 Yodobashi Camera / yodobashi.com All rights reserved.