いきなり馬鹿げたタイトルです。ボディの色が何であろうと写りには全く関係ありません。しかしライカに手を出す人にとってボディの色は大事なのです。「やっぱブラックペイントじゃなきゃ」と主張するのがある種の定型でしょうか。理由は簡単で、使い込んでいくことでペイントが薄れ、地の真鍮が覗いてくる。人によって使い方は様々で、ペイントのヤレ具合も人それぞれ。結果として自分だけの「ライカ」が生まれるわけです。ライカは高い。ややもすると10倍平気で払わせる。払うだけの"理由"を並べたくなるのか、自分にも言い聞かせたくなるのか。。。確かにあらためて「シルバークロームが大好きだ!」という人は少ない気がします。全世界的にもブラッククローム/ブラックペイントのほうが数が出るそうです。そんな中でも日本だけが妙にシルバーが出るらしいのですが。オールド・ライカは大半シルバークロームであり、必然的にライカのパブリックイメージとしてはシルバーとなるわけです。恐らく日本人が一番そのイメージに引きずられているのだと思います。


典型的にわかりやすい日本人である筆者はシルバークロームが好きです。誰が何と言おうとそれはもう妄信的に好きです。バルナックからM型までラインナップに無い場合以外は、シルバークロームの個体を手にしてきました。別にブラッククロームやブラックペイントが嫌いなわけじゃないのです。むしろ好きです。ちょっと度合いが違うだけですし、経済的に余裕があれば両方に手を出したい。しかし撮り手として、いやよい大人として「それだけはやっちゃいけない」「いやいや無駄遣いの極みだ」なんて"引いて"見れば、今更な呆れた抵抗を続けてきました。今回M9にはシルバークロームが無いということでブラックペイントを買う絶好の(?)口実ができたのですが、いざスチールグレーを手にしてみると・・・これが、なかなか佳いのです。はてさて、、、困りました。

 

アンスラサイトとも違い、M7チタンとも違う。いえいえ「スチールグレー」とライカ社がアナウンスしてるのですから違って当たり前なのですが、何だかそれらが混ざった感じ。タングステンの光を纏うとM7チタン的、デイライトに晒されるとアンスラサイト的、しかし「スチールグレー」なのです。新しい。実機が店頭に並び始めたらぜひお手にとって見てください。なかなか悩ましい魅力を持つフィニッシュです。「フザけんな。なんでシルバークロームがねぇんだよ」「いやいや今回はブラックですな・・・グフフ」アンビバレントな救いようのない2人の自分の共存に呆れつつ、いや単にバカだと認識しながら解脱できない自分を哀れみ、発売日まで大いに悩みたいと思います。(周りは両色買う予定の方がチラホラいますが)

 

さて、テクニカルなお話も書かなければならないのですが、今日のところはM9のポートレートのみということで。近日中に「実写画像」をUPする予定ですその際にM8との撮り比べと合わせてお届けいたします。

 

ブラックかスチールグレーか。ライカをよくご存じでない方には全く趣旨のよく分からない記事だったと思います。しかし、申し訳ないですがこればかりは「こんな世界がある」といった具合にご理解いただければ幸いです。存在する以上、確実に何かがあるのですが。あえて説明を試みるとするならば、大枚をはたかせて買わせる不変的価値がそこにあるということでしょうか。その昔「35mmフォーマット」を定義したのはライカ。そして現在までモデルの変遷はありましたが、呆れるぐらい基本構造は変わらない。非常にシンプルかつプリミティブ。・・・しかし、写真を撮るのには必要十分だったりします。むしろシンプルでプリミティブだからこそ、撮影に対するアプローチについて考えさせられることが多々あります。そして教えられたことも。つまり「代わりのないカメラ」なのですね。「写真を撮る」ということに一度でも熱病的に犯された人にとって、そんな一面に少し触れるだけで猛烈にモノにしたいものがそこにはあるのです。ある種後光が差すほどに崇高だったりするもので、自分がそれに添うのは非常に難しい。だからこそライカにすがってしまうのです。モノにしたいがために、その証が欲しいがために、ボディの色に意味が生まれてくるのです(・・・大した意味じゃありませんが)。

 

使い古しの技術と機構で愚直にやってきたライカ。このボディサイズにフルサイズのセンサーを積んできました。ある種無謀な話です。筆者は絶対無理だろうと思っていました。気がついてみれば世界最小ボディサイズの35mmフルサイズセンサーを積むカメラになってしまいました。最近妙に小回りが利いて商売上手になった感はありますが、呆れるぐらい愚直なライカ社が送り出したM9ですから、本物なのでしょう。次回そのあたりを検証いたします。

 

ライカとそのユーザーを色物的にご覧の皆様。ぜひ更新をお楽しみに。
ちなみに色物なのは筆者のようなユーザーだけです。仲間が沢山居ることは否定しませんが。もう一つ。筆者は今となっちゃとっぷりと典型的にダメなライカユーザーですが、ライカを使う前まではハッキリ申し上げて毛嫌いしていました。そんなものなのです。


テカリ過ぎず、マット過ぎず。今回のブラックペイントもデキが佳いです。使い込んで真鍮が覗いて・・・自分のモノにしてください。
ライカ M9 [ブラックペイント ボディ]

シルバークロームを出さずに新色を出す。格好良くなければ出るはずがないですよね。文句なしの格好良さ。スチールグレー。
ライカ M9 [スチールグレーペイント ボディ]

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